俺がいかがでしたかブロガーだ!

普段いかがでしたかブログをクラウドソーシングサイトで請け負っているブログ主を読者が見てこれよりはマシだと勇気づけられる、そんなブログが有ってもいい

いかがでしたかブログに「いかがでしたか」は必須ではない

 いかがでしたか?いかがでしょうか?いかがだったでしょうか?いかがでしたかブログにはこのような「いかがでしたか」のバリエーションが頻出する。前回の記事ではそれが単にまとめのテンプレとして使われているに過ぎないと書いたが、ではいかがでしたかという言葉をなくせばいかがでしたかブログってのは消えるんだろうか?

 もちろん消えない。というのは、いかがでしたかブログの本質とはいかがでしたかという言葉尻の問題ではないからだ。いかがでしたかブログの本質は、Google検索に引っかかるために一の情報を千に引き伸ばすという方法論と構成、そして文体だ。いかがでしたかブログというのは大抵

 

  • 愚にもつかない枕ことばから始めて
  • wikiと他のいかがでしたかブログから得た程度の情報を
  • 文章の順列組み合わせと画像でゴテゴテ粉飾しつつ
  • それをクライアントの依頼により数千文字に引き伸ばし
  • 最後に愚にもつかないまとめで〆る

 という構成で書かれている。SEO対策というやつだ(よくおわかりのとおりあの増田やこのブログもこのテクニックを駆使して書いている)。これはみんなよく知っているだろうが俺もいかがでしたかブロガーなので引き伸ばしのためにあえてまた書いた。そして何より重要なのはこの構成につきまとうあのただひたすらヘイトを買うために特化した文体だ。

 俺はこれを「押し売りされたマクドナルドのスマイル文体」と呼んでいる。ブックオフ店員の挨拶文体でもいい。とにかく、魂のない人間しか喜ばないようなあの愛嬌を文章でも帯びているのがいかがでしたかブログの文体の秘密なのだ。

 しかしなんであんなムカつく文章が量産されてしまうんだろうか?一つは、文章のレギュレーションがきっちり固まりすぎているからだ。

 いかがでしたかブログの文章というのはですます調で書くようにクライアントから依頼される。そしていかがでしたかブログというのはどんな最底辺のバカでも理解できるように書かなければならないという制約がある。書き手の個性やら主観やら小ネタやらスラングやらは当然却下される。

 しかし、だ。そのまま事務的にですます調で書こうとしても大抵上手くいかない。要求文字数が多すぎるからだ。そこで引き伸ばしつつ、しかも読者に喧嘩を売らないように文字数を文体だけで稼ぐという必要にかられる。

 その結果どうなるか?つまりこうするということだ。

 

 いかがでしたかブログについて調べてみました!まずはGoogle検索にかけてみましょう!どうやらネット上ではとても嫌われているようですね……!

 

 とまあ無意味にテンションの高くなれなれしい文章で余計な話を挟み込むことで文字数を稼ぐのである。

 もうお気づきだろうがこの文体、実はコンビニやファーストフード店で見かける接客術と大差がない。敵を作らず、消費者に愛嬌を振りまくが、しかしその内心は全く心がこもっていない感情労働というやつだ。人間に人間のようで人間でない人間のふりをしているなにかをさせる仕事であるということだ。

 もちろん真っ当に人間性のある人間ならそのような接客をされても虚無か反感しかわかない。だからいかがでしたかブログの文章は人をいら立たせる。マクドナルドのスマイルなら自分から頼まない限り出てこないが、いかがでしたかブログは頼んでもいないのに検索したら出てくるので余計に不快になっても仕方がない。 

 そしてその心のこもっていないのに心あるもののふりをするグロテスクさ、すり寄ってくる偽りの愛嬌の醜悪さと適当さの象徴として「いかがでしたか」というテンプレワードが存在する。

 そしてこれがいかがでしたかブログにいかがでしたかが必須ではない理由そのものでもある。いかがでしたか、というのはいかがでしたかブログを成り立たせる構成と文体によって自然に生まれたいわば結果に過ぎないからだ。

 なので実は「いかがでしたか マイナス検索」という手段でいかがでしたかブログを殲滅することは出来ない。いかがでしたかブログのやり口が知られた結果、今後はいかがでしたかという文言はクライアントから禁止されていくだろう。

 しかしいかがでしたかという一言を生むに至る、いかがでしたかブログ本体の構造はそこでは温存されている。どうやらまだもうしばらくはいかがでしたかブログ対策といかがでしたかブログのイタチごっこは続くことになりそうだ。(というのは前回も書いたが、同じことを繰り返して文章を水増しするのもいかがでしたかブログの作法である)