俺がいかがでしたかブロガーだ!

普段いかがでしたかブログをクラウドソーシングサイトで請け負っているブログ主を読者が見てこれよりはマシだと勇気づけられる、そんなブログが有ってもいい

いかがでしたかブログを量産するためのテンプレ文体は、実はいかがでしたかブログ量産には向いていない

 基本的に長文を書くことが染み付いた俺でも「長いなこれ」と呟いてしまったタイトルだが今回の話はこれだ。いかがでしたかブログの悪評が知れ渡り、いかがでしたかブログがネットから徐々に駆逐されつつある流れでいかがでしたかブログ執筆者の俺のような雑魚は滅びつつあるいい流れの世の中だが、実はいかがでしたかブログの本質であるいかがでしたかブログテンプレ文体とクライアントの要請には強い矛盾があって、それもいかがでしたかブログの衰退を後押しすると俺は見ている。

 

 それはなにか。SEO対策を気にしすぎていかがでしたかブログの文字数は肥大化しすぎているのだ。そしていかがでしたかブログのテンプレ文体で文字数を薄めて伸ばすのにも限界がある。文字数を稼ぐにはレギュレーションがガッチガチすぎるのだ。

 

 にも関わらず普段文章というものに接していないいかがでしたかブログクライアントたちは、文字数というのが無から創造できると勘違いしているので仕様書にやたら文字数を盛ってくる。そのくせ「文体はですます調で主観は一切挟まず構成を破綻させず」云々とレギュレーションをきっちり固めようとしてくる。しかしそもそもよくも知らない商品の宣伝などで筆が乗るわけがないから、無個性なのに無駄話だけは長い苛立ちの凝縮された文章になってしまう。あんたがいかがでしたかブログを読んで感じるいらだちは虚無を目の当たりにした苛立ちだと思うが、その虚無は書いている俺達も痛感している。

 あんたがカレー沢薫中島らもみうらじゅんのようなスーパー・オモシロ・コラムニストの類いなら、あるいはその豊かなるボキャブラリーとユニークな切り口によるスーパー・フリー・文章・トークによって薄い情報量でも濃密な至福の文章を生み出せるかもしれない。

 しかし俺たちいかがでしたかブロガーにそんな能力はないし、クライアントにそんな文章は理解出来ないし、そもそも仕様書では個性を殺せと言われているので万が一書けたとしても書くことは出来ない。いかがでしたかブログはGoogle検索に引っ掛かってお金を稼ぐことを至上命題としているから、効率よく情報をまとめてもダメだし、かといって面白い文章を書くために工夫をこらしてもダメなのだ。そもそも言い回しを工夫しすぎたらSEO対策にならないからな。

 かくしてネットから「面白くて個性のあるコンテンツ」や「要領のよく端的に答えのまとまったコンテンツ」はいかがでしたかブログの洪水に追いやられていく。これはもはや公害といって間違いない。

 俺たちいかがでしたかブロガーはその大罪の片棒を担ぐ悪党だし、クライアントも当然全員屑だらけだ。やつらに文化の価値を理解する感性も心もない。俺たちにその破壊を理解する倫理観はない。そして文化なき経済活動は長期的には衰退しか生まない。正直に言って、技術の進歩によっていかがでしたかブログ、俺達のような存在が駆逐されていくことを俺は純粋にいいことだと思う。俺はこのいかがでしたかブログという人の好奇心を虚無への供物として繁栄するミームと、そのミームの生殖を手伝うだけの俺たちを純粋なる悪だと思う。

 しかし、いかがでしたかブログには内在的な矛盾がある。人間がいかがでしたかブログというミームに奉仕する時代が永続するはずがない。だからやつらはやがてAIという新たな産婆を手に入れるだろう。しかし、例えAIが台頭したとしても、人間の意志と叡智がこのいかがでしたかブログ的な虚無を打ち砕くと俺は祈る。俺はその日か、あるいはその前に文章を書く人間としてですらなく死骸となるだろう。そうなる前の、この時代の証言者として俺はいまこうしてブログを書いている。